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『老人と宇宙(そら)』 老人が若者の身体を手に入れて人類のために戦う物語、見た目と内面がアンバランスだけどかっこいい戦士たち

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75歳の脳に、若者の身体ってどうなんだろう?

同じ死を迎えるにも、ただ静かに老いて死んでいくのと、若者の身体を手に入れてエイリアンと戦って死んでいくのと、どっちがいいんだろう?

二度と地球に戻れないとわかっていて、それでも宇宙に行きたいと思うだろうか?

どれも仮定の話で、今のところその仮定は絶対に実現しないと思っているので、答えようにも答えが浮かばない。

すごい設定だ。

『老人と宇宙(そら)』 ジョン・スコルジー

あらすじ

妻に先立たれたペリーは、75歳の誕生日にコロニー防衛軍(CDF)に入隊する。75歳以上の男女しか入隊を認められないCDF。その役目は宇宙への入植を進める人類をエイリアンの攻撃から守り、新たなコロニーを開拓することだった。一度入隊すると二度と地球には戻れない。兵役は最低2年、最大8年延長もありうる。老人たちは若く新しい身体を手に入れ、戦士として生まれ変わった。ペリーたち新兵は訓練を終えて戦場に向かうが、エイリアンの能力は想像をはるかに超えていた。人類の存亡をかけた戦いで仲間たちが次々に死んでいく。ペリー自身も死の淵をさまようが、亡き妻にそっくりの特殊部隊隊員ジェーンに助けられ急死に一生を得る。その後ペリーは特殊部隊と共にある命令を遂行するため惑星に降り立つ。

感想とか

さてさて、このぶっ飛んだ設定。

75歳で入隊した後、脳だけはそのまま残され、後のパーツ、臓器や血液や、もろもろほとんどが入れ替わる、というか、若い頃の自分の身体がパワーアップして、そこに75歳の脳が転送される、そんな設定なんだけど、それって、ねぇ・・・。

すごい発想だよね、斬新というか、奇抜というか。

それに、もっとぶっ飛んだのが特殊部隊(ゴースト部隊)の隊員たち。

CDF入隊を申し込みながら、75歳前に死んでしまった人の身体を改造して新しい人間(兵士)を作り出しているなんて、なんということ。

倫理的にどお?とか、野暮なことはおいておいて、重苦しい雰囲気を感じさせることなくテンポよくストーリーが進み、ところどころペリーと亡き妻の身体を持ったジェーンの会話にしんみりしたり、老いと生と死を考えさせられたり、最後は戦いに勝ってスッキリ爽快な気分になれ、ほんと読み応えのある作品だった。

ペリーがどんなときも冷静でかっこよくて惚れちゃうけど、よく考えたら76歳の高齢者だし、でも身体は20代で、なんか混乱する。やっぱり見た目と内面はいっしょの方がわかりやすくていい。