行けるところまで行ってみよう

1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『善医の罪』 久坂部羊 / 延命治療と尊厳死を考える

難しい問題だ。 本を一冊読んだくらいで結論が出るものでもなく、普段から自分の最期を考えておくべきだと思わされた。 くも膜下出血で救急搬送された横川達男は、一命をとりとめたものの意識はもどらず、自発呼吸も不十分だった。主治医の白石ルネはこれ以…

『黒い家』 貴志祐介 / 怖い怖い世界と人間の本質

怖いよ怖い。 誰もいない部屋、電気を消して横になる。 耳をそばだてると、微かに音がする。 きゃあーーーーッ! 『黒い家』は第4回ホラー小説大賞受賞作らしい。知らなかった。 昼休み、Kindle Unlimitedで無料で読める本作を見つけ、読み始めた。 あれよあ…

『初秋』 ロバート・B・パーカー / 男くささと力強さにやさしさをプラスした物語

思ったより新しくて読みやすかった。 なんといっても1988年発行だからね。 もっと古くさく感じると思ったよ。 ハードボイルドの名作と言われるロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズ。Wikiによると全40作もあるらしい。全部は邦訳されていないようだ…

『許されざる者』 レイフ・GW・ペーション/ 時効が成立した事件の犯人の末路

結局、そうなるのね・・・。 それにしても、やっぱり出てきた小児性愛、暴力、貧困、家庭崩壊。 スウェーデン(北欧)ミステリーにはつきものなのか? 国家犯罪捜査局の元長官ヨハンソン(67歳)は、屋台でホットドックを買った直後脳塞栓で倒れ、病院に救急…

『カーテンコール!』 加納朋子 / 耐えられないと思ったら逃げていいんだよ

逃げてもいいんだよ。 助けて、といっていいんだよ。 いわた書店の一万円選書、ラスト3の1冊。 閉校が決まった萌木女学園大学で、単位を落とし卒業できなくなった学生たち。なぜ授業に出席できなかったのか。その原因はそれぞれが抱える生きにくさにあった。…

『武器よさらば』 ヘミングウェイ / 行動を描くことで心情を読み取らせる

そうかー。そういうことね。 余韻がね。 意味不明な読後の一言。 でも、それしかいえない。とにかくそういうことだ。 第一次世界大戦中、イタリアの傷病兵搬送車部隊に所属するアメリカ人フレドリックは、任務中に敵の砲撃を浴び重傷を負う。病院に運ばれた…

今度は「隆祥館書店」の一万円選書が当たったよ!

2ヶ月前、いわた書店の一万円選書が当たり、本が届いた。9タイトル11冊。(いわた書店の一万円選書、当たったよ!届いたよ!) そして今回、めでたく隆祥館書店の一万円選書が当たり、今日本が届いた。 全10冊、タイトルは以下。 『エンド・オブ・ライフ』 …

『ハロー・ワールド』 藤井太洋 / 国境を感じさせない物語

プログラム書く人には、国境なんてないんだ。 『ハロー・ワールド』の世界は難しい。 けど、なんとなくわかる! 楽しめちゃう! 本作にはタイトルの「ハロー・ワールド」の他に4つの短編が収められている。 自称「何でも屋」のエンジニア、文椎泰洋(ふづい…

『短くて恐ろしいフィルの時代』 ジョージ・ソーンダーズ / 現代版寓話、脳が落っこちる!

これは寓話か? 空恐ろしいおとぎ話か? 現代版寓話だな、きっと。 中編の部類に入る短めなお話。 <内ホーナー国>は領土が狭く、国民が1人しか入れない。残りの6人(ということは内ホーナー国民は全員でたった7人)は<内ホーナー国>を取り囲む<外ホー…

『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー / おもしろいから一度は読むべし

こんなにおもしろいって知ってたら、もっと早くに読むんだった! 『ロング・グッドバイ』がミステリーだったとは、読み始めるまで知らなかった(いや読み始めてさえも気がつかなかった)。 なぜって、村上春樹が影響を受けた作家だから。 村上春樹は『グレー…

『やがて訪れる春のために』 はらだみずき / 次の世代を生きるものにバトンを渡せ!

「ハルばあ」から「まめ子」にバトンは渡った。 これでいいんだよ。 真芽(まめ子)は小学校を卒業するまで両親と弟と祖父母の6人暮らしだった。手狭になった家を建て替えるというとき、両親と祖父母の間で何らかの問題が生じ、真芽ら4人は祖父母を残して街…

『玩具修理者』 小林泰三 / 途中下車できない気持ち悪さ

気色悪い。吐きそう。 でも気になる。 最後まで読んでしまう。 好きかも、こういうの。 『玩具修理者』は「玩具修理者」と「酔歩する男」の2つの短編が収録されている。 壊れたものなら何でも直してくれる玩具修理者。その名の通り玩具でも、死んだ猫でも。…