2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧
『茗荷谷(みょうがだに)の猫』は9つの短編からなる連作である。 連作はいくつか読んだことがあるが、それはたいてい同じ時間軸で繰り広げられる物語の集まりだった。 しかしこの『茗荷谷の猫』は、江戸時代から昭和30年代までの長い時間の流れの中で、日常…
遺体安置所に昨日まではなかった遺体が一体紛れ込んでいた。 誰が、何のために、どのようにして運び込んだのか・・・。 何という衝撃的な始まり。そそられる導入。一気に物語に引き込まれるじゃないか。 ストックホルム市警・警部グレーンスシリーズ7作目(…
『カタリーナ・コード』に続く警部ヴィスティング・シリーズ13作目(本国では13作目、邦訳では3作目)。 今回のあらすじは・・・ 急逝した大物政治家の別荘で大金が詰まった段ボール箱が見つかった。 汚職か? 大金の出どころを極秘に操作せよ! 検事総長か…
スケールがでかい。でかすぎる。 物語は中米コロンビアから始まり、スウェーデン、アメリカを何度も往復する。 スウェーデン人の犯罪者がアメリカ麻薬取締局に雇われ、コロンビアの麻薬組織、ゲリラ部隊の一員となり潜入捜査を行う。 警察小説だけど主人公は…
北海道砂川市にあるいわた書店の一万円選書に応募したのが、確か去年の10月。 そして毎月、当選した人のツイートを見て、いいなぁ〜、私も当たらんかな〜、くじ運悪いから無理やろな〜、と思ってました。 そしたらなんと、6月分抽選で見事当たった! ほんと…
いやーおもしろかった! 24年前に女性が失踪した事件(カタリーナ事件)を追う警部の話。 ミステリーによくあるこれ見よがしの謎解きもなく、奇想天外な結末でもなく、すとんと落ちる読後感が気持ちいい。 ミステリーは今まであまり読んでこなかったのであく…
逃げるよ、逃げる。 どこまでも。 逃げ切るまで。 この『老いた男』は、そんな逃げる男の話。 老いたといっても、男の年齢は60歳。元工作員だから、60歳といえどもそこら辺の中年とは訳が違う。老いてなんか全然ない。現役でも通用するくらい powerful man。…