行けるところまで行ってみよう

1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

海外の小説

『神曲』 お供に助けられてなんとか読了 地獄と刑の残酷さに引いた

『神曲 地獄篇』 ダンテ/平川祐弘訳 『教養としてのダンテ「神曲」(地獄篇)』 佐藤優 『神曲』 ずっと積読になっていた。 読み始めたものの、わかったようなわからないような、読みやすいんだけど理解できないような。2年以上積読になっていたが、書店で…

『見知らぬ乗客』 正気と狂気は紙一重 交換殺人の行き着く先は・・・

『見知らぬ乗客』 パトリシア・ハイスミス / 白石朗訳 うーん、気色悪い小説だった。気色悪いというか気味が悪いというか、得体の知れない狂気に追いかけられているみたいな、そんな感じ。 「文学どうでしょう」でも解説があったように、本作は「倒叙ミステ…

『トム・ソーヤーの冒険』 奇想天外な発想と行動にあっぱれ!さて自分の子どもの頃は・・・

『トム・ソーヤーの冒険』 マーク・トウェイン / 柴田元幸訳 あー自分にもこんな時代があったのかなぁと思わされた児童小説だった。 多分、いや絶対トムやハックのような桁外れの悪戯や冒険はしてない。記憶にない。今あんなことをやったらひんしゅくものだ…

『存在の耐えられない軽さ』 一筋縄ではいかない恋愛小説、重さと軽さを意識して読むとおもしろい

『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ / 千野栄一訳 おもしろかった。食わず嫌いだったんだな。冒頭の「永劫回帰」、「ニーチェ」云々の言葉に敷居の高さを感じ読み進められなかった数年は何だったんだろう。あーもったいない。 裏表紙には「究極の…

『ザ・ロード』 生き延びた先に何があるのだろう?それでも生き延びたいか・・・

『ザ・ロード』 コーマック・マッカーシー / 黒原敏行訳 なんかね、自分がこんな荒れ果てた地球上の、たった一握りの生き残りだなんて、思っただけでぞっとする。もちろん生きたいと思うよ。思うけど、目の前は一面真っ黒な灰、木も植物も何もかも枯れ果て…

『マンスフィールド・パーク』 複雑に入り組んだ男女関係の結末と当時の風習が興味深い

『マンスフィールド・パーク』 ジェイン・オースティン / 中野康司訳(ちくま文庫)を読みました。 オースティンの作品は一見何でもないストーリーなのに、読み出したらおもしろくて止まらないんですよね。オチが気になって気になって。この関係(ファニー…

『青い城』 空想上のお城が現実となるマンガチックなラブストーリー

『青い城』 モンゴメリ / 谷口由美子訳 を読みました。 ハッピーエンドは予想していましたが、思いがけないどんでん返しがあり、ラストは一気読みでした。とはいっても、全体を通して意外性はなく、落ち着くところに落ち着いたストーリーだったかなと思いま…

『スウ姉さん』 家族のために耐えて忍んで自分を犠牲にしたスウが想いの人と結ばれる話

『スウ姉さん』 エレナ・ポーター / 村岡花子訳 を読みました。 エレナ・ポーター3冊目です。『少女パレアナ』『パレアナの青春』は超楽天家パレアナの前向きなお話でしたが、この『スウ姉さん』はまったく反対、自分の夢や恋を家族のために犠牲にして、耐…

『パレアナの青春』 少女パレアナは乙女になり恋をしました 

『パレアナの青春』 エレナ・ポーター / 村岡花子訳 を読みました。 『少女パレアナ』のその後です。歩けるようになって療養所から帰ってきたパレアナがジミーと結ばれるまでのお話。 主人公は前作同様パレアナですが、カリウ夫人も主役級で、その変わり様…

『少女パレアナ』 大人も考えさせられる児童文学 出会いの大切さを教えられた

『少女パレアナ』 エレナ・ポーター / 村岡花子訳 を読みました。 海外文学というか海外の小説は結構好きで、どちらかというと日本の小説より海外の小説を読む機会が多いのですが、どうしてもジャンルが偏ってしまいます。翻訳されているのがミステリーやSF…

『宿敵』 一気に加速してラストを見届けよう

『宿敵』 リー・チャイルド / 青木創訳 を読みました。 リー・チャイルドの小説は初めて読んだのですが、この『宿敵』はもぉ一気読み必至というしかないです。1日目上巻、2日目下巻の2日コース。 めちゃくちゃ強い主人公リーチャーが正義のために体を張って…

『高い窓』 誰に指図を受けるでもなく突き進むマーローがかっこよかった

『高い窓』 レイモンド・チャンドラー / 村上春樹訳 を読みました。 読み終わったのですが、残念ながらせっかくのいいところがぼわんと霞がかかったような消化不良気味の読後感です。 ミステリーの構成、展開がというより、マーロウやその他の登場人物の気…

『隣の家の少女』 もしかしたら現実の社会に存在するかもしれない少年とその保護者 ハッピーエンドは望めないホラー小説

こういうの、好きじゃない。 この一言に尽きる。 よくよく調べていくと、ケッチャム作品は賛否両論が激しく別れるらしい。 小説を読んで何を感じるかは読者の自由だし、スティーブン・キングみたいにケッチャムを絶賛することについて何かを言うつもりもない…

『災厄の町』 秘めた殺意は凄まじいものだった 町が旧家を飲み込む本格ミステリー

そうきましたか、エラリイさん! やられました。最後までわかりませんでした。 参りました・・・。 といいたくなる古典的で本格的なミステリーだった。 こういうのをミステリーの原点(のひとつ)というんだろうな。 それにしても、町の変わり様が恐ろしい。…

『まだ見ぬ敵はそこにいる』 麻薬組織を一網打尽にすべく奮闘するロンドン警視庁麻薬取締班

本作はロンドン警視庁の警察官、ウィリアム・ウォーウィックが主人公の連作の2作目だ。 麻薬王とその組織を一網打尽にすべく、ロンドン警視庁に新設された麻薬取締独立捜査班の面々が奮闘する話。 前半はスローテンポだが、後半に入ると、血なまぐさい殺人、…

『チャイルド44』 国家に背いて連続殺人犯を追う 「国家vs個人」の圧巻のミステリー小説

一周回ってポンッ!って感じ。 そう来たかと。 犯人の登場のさせ方とか、主人公の秘密の明かし方もうまい。 エンタメ小説だけど政権を批判した書ともいえ、だからロシアでは発禁なのかと思ったり。 ミステリーとして、冒険小説として、読み応えのある小説だ…

『マンハッタンの狙撃手』 片腕・片脚・片目を失った天才科学者であり元FBI捜査官が連続狙撃事件の犯人を追う スピード感がたまらない

これはめっけもんだった! ん?儲けもの? 狙撃手って単語だけで手に取った一冊がこれほどおもしろいとは! 初っ端から衝撃的な事件が起こり、読者は釘付けになる。 スピード感あり、緊張感ありの、ぐいぐい引き込まれるサスペンス小説だった。 『マンハッタ…

『クリスマス・プレゼント』 母娘が迎えるクリスマスは単純ではなかった やっぱりディーヴァー、期待に応えてくれる

あれ、このまま終わっちゃうの? いやいや、そんなわけないでしょ。 おーそうきたか、なるほどね。そうかそうか。 ・・・とまぁ、全編こんな感じの短編集。 まとめ:「ディーヴァーは読者を裏切らない」 『クリスマス・プレゼント』 ジェフリー・ディーヴァ…

『クリスマスの思い出』 僕と親友が最後に過ごしたクリスマス 温かく清々しいけど物悲しい

ハッピークリスマス〜!! と心うきうきする話ではない。 年が離れていても、こんな風にいっしょに暮らせるのっていいなと思ったけど、最後はやっぱり悲しかった。 ちょっとほろ苦、クリスマスの思い出話だった。 『クリスマスの思い出』 トルーマン・カポー…

『クリスマス・キャロル』 がめつくて嫌われ者だった男が精霊とともに現在・過去・未来を旅し最後は幸せになる話 メリークリスマス!

これぞ、クリスマス! 気持ちがいいほどクリスマス! 人、物、景色がキラキラ光って見える。 我が身を振り返りつつ、読後は幸せな気分に浸れる一冊だ。 メリークリスマス!! 『クリスマス・キャロル』 チャールズ・ディケンズ あらすじ がめつくて嫌われ者…

『飛ぶ教室』 寄宿学校で学ぶ5人の生徒と先生が織りなす友情、信頼の物語 想像通りのラストだったけど感動した

200ページ足らずの児童小説。 どちらかというと、ストーリーは既定路線。 最後はこうなると大体は予想してたけど、それでも感動した。 ほっこり、優しい気持ちになれるクリスマスにぴったりの一冊だった。 『飛ぶ教室』 エーリヒ・ケストナー あらすじ 寄宿…

『ウォッチメイカー』 四肢麻痺の天才鑑識捜査官が犯人を追い詰め、逃げられ、また追い詰め・・・ 二転三転するストーリーに翻弄された

うーん、これが俗にいう「二転三転」ってやつね。 どんでん返しに次ぐどんでん返しともいう。 犯人はこいつだ! と思ったら、違った。 え? じゃ誰? こいつだ! と思ったら、また違った。 みたいな。 『ウォッチメイカー』はスピード感というより、二転三転…

『ボーン・コレクター』 事故で四肢麻痺になった世界最高の犯罪学者が連続殺人犯を追い詰める 鑑識作業がめちゃくちゃおもしろい

ふぅー。ハイウェイを時速150キロでぶっ飛ばしてきたぜ! って感じの読後感。 全身が揺さぶられ、手に汗握り、最後は衝撃の結末。 このスピード感は半端ない。 スピード感を求めるなら、今のところ『ボーン・コレクター』一択。 『ボーン・コレクター』 ジェ…

『フロスト始末』 お下品ジョーク炸裂のフロスト警部が次々に起きる事件を解決する、スピード感が最高

警部フロストシリーズ最終作にして、お下品ジョークがさらにパワーアップ。 あんな風に切り返されたら、もう笑うしかないよ。 それにしても、田舎町であんなに立て続けに凶悪な事件が起きるか? まぁでも、おもしろかったから良しとする。 最初から最後まで…

『クリスマスのフロスト』 ダメダメ警部が田舎町で起こった難事件を追う 不器用で下品だけど人間臭いところが◎

いやー、試し読みだけのつもりが、ついついおもしろくて最後まで読んじゃったよ。 電子書籍はあまり好みじゃないけど、そんなにややこしい話じゃないからすんなり読めた。 一気に読めて、気分スッキリ。いいよ。 『クリスマスのフロスト』 R・D・ウィングフ…

『パルプ』 自称名探偵が奇妙な依頼を次々解決、ぶっ飛びすぎ、でも嫌いじゃない

何だろう、ストーリーははちゃめちゃ、ハードボイルドなんだか、ミステリーなんだか。 読みたくて読んだはずだけど、大きく外れた。 野球でいうなら暴投、ワイルドピッチ。 でも、ハズレでも、まいっか、と思えてしまうのはどうしてだろう。 不思議だ。 『パ…

『グラス・キャニオン』 心理学xミステリー、子どもの人生を台無しにするな!

前半は難しかったけど、後半はとんとん拍子。 終わってみれば、「心理学xミステリー」な一冊。 謎はすっきり、会話が多くて読みやすかった。 『グラス・キャニオン』 ジョナサン・ケラーマン あらすじ 午前3時、もと臨床心理医のアレックスは、5年前に診て…

『ネットワーク・エフェクト』 内省的な人型警備ユニットが未知の星系で謎の敵と闘うアクションSF、弊機が人間的感情を抱きつつあるところが微笑ましい

やっぱりおもしろい! 冒頭から手に汗握るハラハラ続きで、前半でもうぐったり。 ピンチを脱して小休止、そして後半、また大盛り上がり。 うまいねー。 楽しませてもらったよ! 『ネットワーク・エフェクト』 マーサ・ウェルズ あらすじ プリザベーション連…

『マーダーボット・ダイアリー』 人間嫌いでコミュ障の警備ユニットが敵と闘い顧客を守り抜く、コミカルでほっこりなSF宇宙冒険小説

いやーおもしろかった! キャラ、設定、ボリューム、訳、どれをとっても文句なし。 作者マーサ・ウェルズの発想と筆力に感服、座布団10枚あげたい! ほんと、楽しませてもらった。 『マーダーボット・ダイアリー』 マーサ・ウェルズ あらすじ 人類が宇宙に進…

『老人と宇宙(そら)』 老人が若者の身体を手に入れて人類のために戦う物語、見た目と内面がアンバランスだけどかっこいい戦士たち

75歳の脳に、若者の身体ってどうなんだろう? 同じ死を迎えるにも、ただ静かに老いて死んでいくのと、若者の身体を手に入れてエイリアンと戦って死んでいくのと、どっちがいいんだろう? 二度と地球に戻れないとわかっていて、それでも宇宙に行きたいと思う…