行けるところまで行ってみよう

1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

2021-01-01から1年間の記事一覧

『同志少女よ、敵を撃て』 女性狙撃手が激烈な戦場を駆け抜ける 苦悩、迷い、覚悟、そして撃つべき敵とは

いつも同じセリフで芸がないが、今回も おもしろかった! 途中、長いな・・・と一瞬思ったが、それはそれとして、読後の後味がいい(読んでよかった!と思える)一冊だった。 戦争から得られるものは何もないが、命を賭けて戦った女性兵士のその後までが描か…

『クリスマス・プレゼント』 母娘が迎えるクリスマスは単純ではなかった やっぱりディーヴァー、期待に応えてくれる

あれ、このまま終わっちゃうの? いやいや、そんなわけないでしょ。 おーそうきたか、なるほどね。そうかそうか。 ・・・とまぁ、全編こんな感じの短編集。 まとめ:「ディーヴァーは読者を裏切らない」 『クリスマス・プレゼント』 ジェフリー・ディーヴァ…

『未来いそっぷ』 ひとつひとつがピリッとしてキラキラ輝いている短編集 クリスマス・イブのちょっといい話

いいね、いいね、こういう話。 ほっとする。 SFなんだけど情緒的というか、オチも微笑ましい。 最後にひっくり返されるんじゃないかとハラハラしながら読んだけど、邪推だった。 これぞ、クリスマス・イブに読むとほっとする話。 『未来いそっぷ』 星新一 あ…

『クリスマスの思い出』 僕と親友が最後に過ごしたクリスマス 温かく清々しいけど物悲しい

ハッピークリスマス〜!! と心うきうきする話ではない。 年が離れていても、こんな風にいっしょに暮らせるのっていいなと思ったけど、最後はやっぱり悲しかった。 ちょっとほろ苦、クリスマスの思い出話だった。 『クリスマスの思い出』 トルーマン・カポー…

『クリスマス・キャロル』 がめつくて嫌われ者だった男が精霊とともに現在・過去・未来を旅し最後は幸せになる話 メリークリスマス!

これぞ、クリスマス! 気持ちがいいほどクリスマス! 人、物、景色がキラキラ光って見える。 我が身を振り返りつつ、読後は幸せな気分に浸れる一冊だ。 メリークリスマス!! 『クリスマス・キャロル』 チャールズ・ディケンズ あらすじ がめつくて嫌われ者…

『飛ぶ教室』 寄宿学校で学ぶ5人の生徒と先生が織りなす友情、信頼の物語 想像通りのラストだったけど感動した

200ページ足らずの児童小説。 どちらかというと、ストーリーは既定路線。 最後はこうなると大体は予想してたけど、それでも感動した。 ほっこり、優しい気持ちになれるクリスマスにぴったりの一冊だった。 『飛ぶ教室』 エーリヒ・ケストナー あらすじ 寄宿…

『旅の窓』 世界を旅した沢木耕太郎が切り取った風景 どんな環境でも人は飄々と生きている

写真を一枚一枚、ゆっくり眺める。 たまにはこんな時間があってもいいよね。 文字に頼らず、見たまま感じる。 そのあと、作者の思いを読んで、あーそうかと思いを馳せる。 同感!だったり、そうなの?だったり、思わずにやりとしたり。 『旅の窓』 沢木耕太…

『ウォッチメイカー』 四肢麻痺の天才鑑識捜査官が犯人を追い詰め、逃げられ、また追い詰め・・・ 二転三転するストーリーに翻弄された

うーん、これが俗にいう「二転三転」ってやつね。 どんでん返しに次ぐどんでん返しともいう。 犯人はこいつだ! と思ったら、違った。 え? じゃ誰? こいつだ! と思ったら、また違った。 みたいな。 『ウォッチメイカー』はスピード感というより、二転三転…

『ボーン・コレクター』 事故で四肢麻痺になった世界最高の犯罪学者が連続殺人犯を追い詰める 鑑識作業がめちゃくちゃおもしろい

ふぅー。ハイウェイを時速150キロでぶっ飛ばしてきたぜ! って感じの読後感。 全身が揺さぶられ、手に汗握り、最後は衝撃の結末。 このスピード感は半端ない。 スピード感を求めるなら、今のところ『ボーン・コレクター』一択。 『ボーン・コレクター』 ジェ…

『フロスト始末』 お下品ジョーク炸裂のフロスト警部が次々に起きる事件を解決する、スピード感が最高

警部フロストシリーズ最終作にして、お下品ジョークがさらにパワーアップ。 あんな風に切り返されたら、もう笑うしかないよ。 それにしても、田舎町であんなに立て続けに凶悪な事件が起きるか? まぁでも、おもしろかったから良しとする。 最初から最後まで…

『クリスマスのフロスト』 ダメダメ警部が田舎町で起こった難事件を追う 不器用で下品だけど人間臭いところが◎

いやー、試し読みだけのつもりが、ついついおもしろくて最後まで読んじゃったよ。 電子書籍はあまり好みじゃないけど、そんなにややこしい話じゃないからすんなり読めた。 一気に読めて、気分スッキリ。いいよ。 『クリスマスのフロスト』 R・D・ウィングフ…

『夫婦茶碗』 ストーリーは二の次、突き抜けたダメっぷりが潔くて気持ちいい

いいねー、この駆け抜けるダメっぷり。 過激で、狂気と紙一重な狂いっぷり、開き直りっぷりもいい。 ここまで正々堂々と、いい加減っぷり、ダメっぷりを描きあげた町田康はすごいよもぉ。 読みながら、思わず何度も声を出して笑っちゃったよ。 『夫婦茶碗』 …

『パルプ』 自称名探偵が奇妙な依頼を次々解決、ぶっ飛びすぎ、でも嫌いじゃない

何だろう、ストーリーははちゃめちゃ、ハードボイルドなんだか、ミステリーなんだか。 読みたくて読んだはずだけど、大きく外れた。 野球でいうなら暴投、ワイルドピッチ。 でも、ハズレでも、まいっか、と思えてしまうのはどうしてだろう。 不思議だ。 『パ…

『グラス・キャニオン』 心理学xミステリー、子どもの人生を台無しにするな!

前半は難しかったけど、後半はとんとん拍子。 終わってみれば、「心理学xミステリー」な一冊。 謎はすっきり、会話が多くて読みやすかった。 『グラス・キャニオン』 ジョナサン・ケラーマン あらすじ 午前3時、もと臨床心理医のアレックスは、5年前に診て…

『ネットワーク・エフェクト』 内省的な人型警備ユニットが未知の星系で謎の敵と闘うアクションSF、弊機が人間的感情を抱きつつあるところが微笑ましい

やっぱりおもしろい! 冒頭から手に汗握るハラハラ続きで、前半でもうぐったり。 ピンチを脱して小休止、そして後半、また大盛り上がり。 うまいねー。 楽しませてもらったよ! 『ネットワーク・エフェクト』 マーサ・ウェルズ あらすじ プリザベーション連…

『マーダーボット・ダイアリー』 人間嫌いでコミュ障の警備ユニットが敵と闘い顧客を守り抜く、コミカルでほっこりなSF宇宙冒険小説

いやーおもしろかった! キャラ、設定、ボリューム、訳、どれをとっても文句なし。 作者マーサ・ウェルズの発想と筆力に感服、座布団10枚あげたい! ほんと、楽しませてもらった。 『マーダーボット・ダイアリー』 マーサ・ウェルズ あらすじ 人類が宇宙に進…

『EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』 落とし物が心臓なんて怖すぎるけど軽く読めるホラー

背筋ぞくぞくのホラーと思いきや、意外と軽い読み物だった。 でも、落とし物が心臓、なんて怖すぎる。 持って歩く人も怖いけど、中身を確認するお巡りさんはもっと大変。 くわばらくわばら。 『EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』 内藤了 あらすじ 警察…

『幽霊人命救助隊』 天国に行くため幽霊が100人の命を救う、コミカルに描かれた世界に読後は清々しい気持ちになれる

自殺という重いテーマをコミカルに描き、それでいて命というものに真摯に向き合っている作者の心意気を感じた。 ひとつの作品にこんなにたくさんの自殺志願者が登場することは、そうそうない。 それなのに、読後はさっぱり、清々しささえ感じるから不思議。 …

『老人と宇宙(そら)』 老人が若者の身体を手に入れて人類のために戦う物語、見た目と内面がアンバランスだけどかっこいい戦士たち

75歳の脳に、若者の身体ってどうなんだろう? 同じ死を迎えるにも、ただ静かに老いて死んでいくのと、若者の身体を手に入れてエイリアンと戦って死んでいくのと、どっちがいいんだろう? 二度と地球に戻れないとわかっていて、それでも宇宙に行きたいと思う…

『銀齢の果て』 筒井康隆が高齢社会と介護制度に物申す、エンタメであると同時に考えさせられる物語

なんと恐ろしい設定。 老人が老人を殺し合う。 そんな話を堂々と小説にしてしまう筒井康隆に、あっぱれ! 筒井康隆にしか書けない小説だ。 『銀齢の果て』 筒井康隆 あらすじ 日本の高齢者人口は爆発的に増大し、若者1人が高齢者7人を養う社会になった。若者…

『木曜殺人クラブ』 謎解きに年齢は関係ない、スリリングな余生を楽しむ高齢者たち

今まで手当たり次第に本を読んできたが、少し大人になってみようと思う。 「手当たり次第」を「計画的に」というだけのことなんだけど。 つまり、 読み終えた本(A)とどこかでつながっている本 ー 小説、エッセイ、ノンフィクション、その他ジャンルにこだ…

『解錠師』 声を失った少年が絵を描くことで心を通わせる姿は神秘的ですらある

ごめん、乗り遅れたみたい。 ストーリーには完全に乗り遅れた。 でも。 声をなくした少年が、絵で伝えようとする姿は美しかった。 『解錠師』 スティーヴ・ハミルトン ある事件がきっかけで声が出なくなってしまった8歳の小年。 解錠という能力を持ったばか…

『熊と踊れ』 暴力に支配された少年時代を経て、暴力をコントロールするはずが暴力と一体化してしまった

上巻は確かにまどろっこしい。読むのがつらい。 しかし。 声を大にして言いたい。 上巻は何とか読んでほしい。あきらめてはいけない。 そうすれば、下巻は一気に加速する。 人間の強さと脆さを突きつけられて茫然とする。 あまりにも切ない。 『熊と踊れ』 …

『君たちに明日はない』 濃いキャラと心地いいテンポで展開されるストーリーはさすがだね

よくもまあこんなに濃いキャラの人物を投入できるものだ。 それも、次から次へと。 クビ切る方も切られる方も、みんな憎めない。 好きだなぁ。 『君たちに明日はない』 垣根涼介 相変わらず、垣根涼介はエロい。 訂正、垣根涼介の書く小説のごく一部がエロい…

『超短編! 大どんでん返し』 すきま時間に読むのにぴったり、お気に入りの作家を見つけるも良し

全30編! 30人の作家が書いた2000字のどんでん返しが1冊につまっている。 なんとお得な! 『超短編! 大どんでん返し』 小学館文庫編集部編 何といっても30人だからね。30人。 いくら「超短編」といっても、これだけの作家の作品を一度に読めるなんて、何と…

『オベリスクの門』 人とかつては人だったもの、両者が愛する人を守るために戦う壮大なファンタジー

ふー。(放心状態) なるほどね。 だんだんわかってきたよ。そうくるわけね。 次は? どうする? どうやって愛するものを救う?! 『オベリスクの門』 N・K・ジェミシン わかりにくさMAXの『第五の季節』から続く『オベリスクの門』。 物語は、母エッスンと…

『第五の季節』 パズルのピースがひとつずつはまっていく感じがたまらない(でもそれは最後の最後)

このラストはずるいぞ。ずるすぎる。 続きが気になるじゃないか。 細かいことはよくわからんけど、どうしようもなく気になるんだよ。 『第五の季節』 N・K・ジェミシン いやほんと、続きが気になって、感想を書く時間が惜しいくらいだ。 だけどいつか、『第…

『死者の代弁者』 深く重い読後感、人類と異星人が共存する姿が見える

これは『エンダーのゲーム』の続編じゃない。 読んでいる最中も、読了後も、まったく別物だと感じた。 これは一つの独立した宇宙&異星人S Fだ! 異星人S Fってジャンルがあるとしたらだけど。 『死者の代弁者』(新訳版) オースン・スコット・カード 『エ…

『エンダーのゲーム』 戦いの後に訪れる静寂が心地よい余韻となった

そっかー、最後はそうきたか。 うん、それもありだよね。 バッチバチのバトルの後は、静寂あるのみ。心地よい余韻。 参りました。 『エンダーのゲーム』(新訳版) オースン・スコット・カード 常々思っていることがある。 SF小説を好む人は頭が柔らかい、柔…

『十日間の不思議』 ラストそうきたか!大どんでん返しのミステリー

さあさあ、ジェットコースターに乗ろう! 上りはスロー。てっぺんまでいったら徐々に加速して一気に駆け下りる。 小さい山をいくつか乗り越え、はぁ〜やっとゴールにたどり着いた。 と思ったら、なんとそこから真下に突き落とされる。 どういうこと? そんな…