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『EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』 落とし物が心臓なんて怖すぎるけど軽く読めるホラー

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背筋ぞくぞくのホラーと思いきや、意外と軽い読み物だった。

でも、落とし物が心臓、なんて怖すぎる。

持って歩く人も怖いけど、中身を確認するお巡りさんはもっと大変。

くわばらくわばら。

『EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』 内藤了

あらすじ

警察学校を卒業し、東京駅おもて交番に配属になった新人女性警察官の堀北恵平。ある日、交番の目の前で無差別通り魔殺人事件が起きた。恵平は必死の思いで取り押さえるが、騒ぎも収まったころ現場で「心臓の落とし物」が見つかった。鑑識で調べた結果、心臓は人間のものだった。持ち主は誰で、何のために心臓を持ち歩いていたのか。恵平は通り魔事件の直前に交番を訪ねた老女のつぶやきが気になる。「ワカミヤサマがついとるじゃ」 恵平と先輩刑事の平野は助言を求めて「東京駅うら交番」の警察官・柏村に会いに行く。時空を超えて。

感想とか

「ホラーx警察xミステリー」な一冊。

軽妙なリズムと、郷愁を誘う情景描写で一気読みした。おもしろかった。

心臓を持ち歩くなんて、やっぱり怖い。ホラーだよホラー。でも、めちゃくちゃ怖いというわけでもない。

どこか漫画チックで、主人公たちが交わす会話がとても軽く(いい意味で)、さっと切り替わる場面展開、軽快なリズムなどから、ホラーなのに軽いという不思議な読み物だった。

例えば横山秀夫のような、ゴリゴリのリアルな警察小説とは違うのも、軽さの一因なのかもしれない。

昭和の風景や、ホームレスや居酒屋の大将たちの人物もとてもよく描けていて感心した。

ただ、通り魔殺人事件と、落とし物が心臓というホラーな出来事は無事解決するが、シリーズを通しての謎(なぜ恵平と平野はタイムトラベルできるのか、柏村は恵平たちに何を伝えようとしているのか)は謎のままで、若干消化不良気味。

シリーズものっていうのは、連続ドラマみたいに、大きな謎は最後まで明かされないのが定石なのか? 一話完結のつもりで読んでいると不満が残る。次が気になって仕方がないじゃないか。それが手なんだろうけど。

ちなみに、この「東京駅おもてうら交番・堀北恵平」シリーズは、これまで6作が刊行されている。MASK、COVER、PUZZLE、TURN、DOUBT、そして、EVIL。どこまでいくんだろうね。