『飛ぶ教室』 寄宿学校で学ぶ5人の生徒と先生が織りなす友情、信頼の物語 想像通りのラストだったけど感動した
200ページ足らずの児童小説。
どちらかというと、ストーリーは既定路線。
最後はこうなると大体は予想してたけど、それでも感動した。
ほっこり、優しい気持ちになれるクリスマスにぴったりの一冊だった。
『飛ぶ教室』 エーリヒ・ケストナー
あらすじ
寄宿学校ギムナジウム5年生の5人組は、クリスマスパーティーの出し物として「飛ぶ教室」というタイトルのお芝居をすることになっていた。リハーサル中、実業学校の生徒がギムナジウムの生徒を拉致したという知らせが入った。禁煙さんの提案を受け、5人は人質を取り戻すべく一対一の勝負をするが、相手は約束を破り人質を解放しなかった。そこで5人は雪合戦中に地下室に忍び込み人質を救出する。その後いろいろなことを通して5人と道理さんの信頼関係は深まっていった。5人がそれぞれ苦悩し葛藤しながら迎えたクリスマスパーティー。お芝居は盛況のうちに幕を閉じた。そしてクリスマスイブ・・・。
感想とか
読み始めてすぐ、胸がキュンとなるような、遠い昔に置き忘れたもの(存在すら忘れたもの)に久しぶりに再会したような、何ともいえない気持ちになった。
しばらく読んで気がついた。
大人になった今ではどれも些細なことに思えるけど、当時の自分にとってはとても重要だったこと、友だちとの秘密の約束だったり、他愛のないいたずらだったり、忘れていた過去が次から次へと思い出され、どことなく郷愁を覚えたのだと。
本作は児童小説だが、大人が読んでも感動する物語だった。
特に主人公はいない(と思う)けど、生徒たちの行動は友情に満ちあふれ、勇気について考えさせられる。
生徒と先生、生徒と舎監の信頼関係、子供と大人の間でも成立する友情、いつの世も同じく親の子を思う気持ち、親を心配させたくないという健気な子の気持ち、などもわかりやすく描かれている。
登場人物の個性もあざやかに描きわけられていて、ストーリーがぐいぐい迫ってくる。
ラストは予想できていても、ぐっとくるものがあった。
クリスマスだもん、これでいいよね。こうでなくちゃ。
それにしても、登場人物の名前が覚えづらい。
序盤、マルティンとマティアスがかぶりまくり。ファーストネームとラストネームも統一してくれ。海外の作品ではよくあることだけど、本当に困る。