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『同志少女よ、敵を撃て』 女性狙撃手が激烈な戦場を駆け抜ける 苦悩、迷い、覚悟、そして撃つべき敵とは

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いつも同じセリフで芸がないが、今回も

おもしろかった!

途中、長いな・・・と一瞬思ったが、それはそれとして、読後の後味がいい(読んでよかった!と思える)一冊だった。

戦争から得られるものは何もないが、命を賭けて戦った女性兵士のその後までが描かれていて、ほっとした。救われた。

『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬

あらすじ

ある日、少女セラフィマの暮らす村がドイツ軍の急襲にあい、村人は全員惨殺、母も射殺されてしまう。ソ連赤軍兵士イリーナに救われたセラフィマは「戦いたいか、死にたいか」と問われ、敵を討つために生きることを決意し、イリーナが教官を務める訓練学校で狙撃兵を目指す。訓練を経たセラフィマは狙撃小隊の一員として激戦地スターリングラードに向かった・・・。

感想とか

戦争ものはちょっと苦手だ。

まず歴史的事実が目の前にどーんとあり、それを知らずして読むべからずみたいな空気がある。というか知っている前提。

それに、あーおもしろかったではすまされない重厚さがある。気軽に手を出せないというか。

そんなわけで『同志少女よ、敵を撃て』があちこちで話題になっていなければ、多分、いや絶対読まなかった。

で、読み終わった今。

思ったほど重くなく、それでも戦争という修羅場を突きつけられ、命をかけて戦う女性兵士の苦悩、迷い、覚悟などを感じながら共に戦地を駆け抜けることができた。

つまり、おもしろかった!

戦争ものをおもしろいといってはいけないかもしれないが、本作は多分にエンタメ性を持っていると思う。個人的には。

独ソ戦については、学校で習ったっけ?くらいの知識しかなく、ここで語られていることが事実なのかどうかもわからないが、そもそもフィクション作品だし、歴史的事実を踏まえて描かれているものだと思っている。

ソ連には100万人もの女性兵士がいて、中には狙撃兵もいたことは驚きだった。

戦争はいいことなんて何もない。失うものばかり。

命をかけて戦ったその先にあるものは?

作中に「同志少女よ、敵を撃て」というセリフが語られる場面がある。復讐を誓い、戦火を潜り抜けた狙撃兵セラフィマの敵は何だったのか。

あーそういうことだったんだ。

ところで、作者・逢坂冬馬は何と新人らしい。新人がこんなに壮大なスケールの物語を書くとは、これも驚きである。

直木賞候補にもなっているが、果たして受賞なるか?