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1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

『マンハッタンの狙撃手』 片腕・片脚・片目を失った天才科学者であり元FBI捜査官が連続狙撃事件の犯人を追う スピード感がたまらない

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これはめっけもんだった! ん?儲けもの?

狙撃手って単語だけで手に取った一冊がこれほどおもしろいとは!

初っ端から衝撃的な事件が起こり、読者は釘付けになる。

スピード感あり、緊張感ありの、ぐいぐい引き込まれるサスペンス小説だった。

『マンハッタンの狙撃手』 ロバート・ポビ

あらすじ

記録的な寒波に襲われたニューヨーク・マンハッタンで、車道に取り残された一人の女性を横断させようとしたドライバーが狙撃される。荒れ狂う吹雪の中、犯人に繋がる痕跡は消え去り、狙撃地点の特定は不可能と思われた。そんな中、元FBI捜査官であり魔法の目の持ち主と呼ばれた男ルーカス・ペイジはFBIから協力を求められる。ルーカスは10年前の事故で片腕・片脚・片目を失い、今は大学教授として教壇に立ちながら親を失くした子どもたちを引き取って暮らしている。狙撃地点を突き止めたルーカスだったが、その後さらなる犠牲者が出て、法執行官を狙った連続狙撃事件へと発展する。やがてルーカスと家族にも危険が迫り・・・。

感想とか

主人公の身体的特徴がリンカーン・ライムシリーズのライムを彷彿とさせる。ライムは四肢麻痺の天才鑑識捜査官だけど、ルーカスは片腕・片脚・片目を失った天才科学者であり元FBI捜査官。相棒の女性の存在も何となく似ている。あくまで存在だけ。

あいつが犯人だったのか!と思いきや、実は・・・、のどんでん返し感も似ている。

展開が早くて、ムダ(と思われる余分な小話)もないから気持ちよく読め、次が気になってページを捲る手が止まらないところも似ている。

ルーカスの空間認識力、地理的状況を数値に変換する能力なんかはすごく気になる。アスペルガー的な症状がとても意味深だし、相棒のウィテカーの読心術みたいな能力も魅力的。

ルーカス家のガレージに住むディンゴもカッコいい。両脚を失ったブラジリアン柔術の達人が身を挺してルーカス一家を守るシーンは手に汗握る。

どうしてルーカスが半身を失うことになったのか、FBIで何らかの確執があったのか、謎は謎のまま終わっている。ということは続編がある?

作者ロバート・ポビの作品が邦訳されたのは『マンハッタンの狙撃手』が初めてだとか。普段は電話もネットもない山小屋にこもって執筆し、SNSも一切やらないポビは、徹底したこだわり=美学の持ち主なのかも。

ぜひ次作、できればシリーズとして次の作品を読んでみたい。