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1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

『クリスマス・プレゼント』 母娘が迎えるクリスマスは単純ではなかった やっぱりディーヴァー、期待に応えてくれる

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あれ、このまま終わっちゃうの?

いやいや、そんなわけないでしょ。

おーそうきたか、なるほどね。そうかそうか。

・・・とまぁ、全編こんな感じの短編集。

まとめ:「ディーヴァーは読者を裏切らない」

『クリスマス・プレゼント』 ジェフリー・ディーヴァー

あらすじ

「クリスマス・プレゼント」

四肢麻痺の天才鑑識捜査官ライム・リンカーンは、ニューヨーク市警の刑事ロン・セリットーから、行方不明に発展するかもしれない事件の捜査を個人的に依頼される。母スーザンと連絡が取れない娘カーリーから状況を確認したライムは、さっそくサックスをスーザンの家に向かわせる。降りしきる雪で証拠は消えかけていたが特に不審な点は見当たらなかった。しかし取引銀行の支店長から、スーザンが青白い顔をして男性に抱えられるように来店したと聞き・・・。スーザンは誘拐されたのか。クリスマス・プレゼントとは何だったのか。

感想とか

これまで読んだクリスマス関連の作品は、どちらかというとストレートな話で、児童向けというかファンタジー的なものばかりだったが、「クリスマス・プレゼント」(というか本作に収録された短編16編)は完璧に大人のためのミステリー作品だ。

表紙に惹かれてちょっと前に購入し積読になっていたが、この季節に読めてよかった。

どの作品も、ディーヴァーお得意のどんでん返しが冴え渡っている。

意外な結末に毎回ため息が出る。そんなことあり!?と何度思ったことか。

短編は状況を咀嚼しなくても(登場人物や背景や、物語を楽しむために最低限知っておかなくてはいけない諸々のことは取っ払って)、とにかく短期決戦、突撃隊!みたいなところがある。

結果がすべてみたいな。

そこには、作者の覚悟や手腕が問われる。と思っている。

短編を書くのは難しいだろう。限りなくスリムに、ムダな表現を削ぎ落として、なおかつ読者をあっと言わせる技巧が求められる。

本作に収められた短編はどれも切れ味鋭く、登場人物や設定もバラエティーに富んで、読み応えのある短編集となっていた。

特に、ライムとサックスのコンビが活躍する「クリスマス・プレゼント」は、リンカーン・ライムシリーズで余韻が残っているせいか、相変わらず小気味よくておもしろかった。

でも。

やっぱり、じわじわと攻められるのが好きだなぁ。やばい趣味? いやいや。

すぐに読み終わってしまう短編より、ジェットコースターで上がったり下がったり、吐きそうな気分が味わえる長編が好きかも。やっぱりやばい。

ディーヴァー作品を読むなら、やっぱり長編だな。