『未来いそっぷ』 ひとつひとつがピリッとしてキラキラ輝いている短編集 クリスマス・イブのちょっといい話
いいね、いいね、こういう話。
ほっとする。
SFなんだけど情緒的というか、オチも微笑ましい。
最後にひっくり返されるんじゃないかとハラハラしながら読んだけど、邪推だった。
これぞ、クリスマス・イブに読むとほっとする話。
『未来いそっぷ』 星新一
あらすじ
「ある夜の物語」
クリスマス・イブの夜。ひとりの青年の部屋にサンタクロースが現れる。「何でも望みのものをあげましょう」と言われ、思案した青年は「世の中には自分よりもっと気の毒な人がいる。その人のところに行ってあげてください」と答える。病気の寝たきりの少女のところに行ったサンタクロースだったが、彼女もまた、別の気の毒な人を紹介し、その人もまた別の人を紹介し・・・。
感想とか
『未来いそっぷ』には39の短編が収められている。クリスマスをテーマにした作品は、その中の「ある夜の物語」。だいぶ後の方、読んでも読んでもクリスマスの話がこなくて、おーやっと!って感じだった。
私の星新一作品に対するイメージは「ブラックユーモア」で、思わずニヤリとさせられる小気味よさが好きなんだけど、「ある夜の物語」にそういう返しはない。
素直に、クリスマス・イブを祝う・・・祝うは違うな、何だろう、クリスマス・イブを過ごすにあたって、ちょっと心温まる話を読みました、って感じかな、よくわからんけど。
優等生的な、できすぎた話のようにも読めるけど、たくさんの話の中にこういうのがあってもいいよね。