『トム・ソーヤーの冒険』 奇想天外な発想と行動にあっぱれ!さて自分の子どもの頃は・・・
『トム・ソーヤーの冒険』 マーク・トウェイン / 柴田元幸訳
あー自分にもこんな時代があったのかなぁと思わされた児童小説だった。
多分、いや絶対トムやハックのような桁外れの悪戯や冒険はしてない。記憶にない。今あんなことをやったらひんしゅくものだし、第一大人が許さない。
夜遅く(昼間でも)ひとりで歩いてはいけません、知らない人に話しかけられても答えないついていかない、出かけるときは誰とどこにいくか家の人に言っていきなさい・・・。それくらいしないと安全が確保されない悲しい世の中になったってことだ。
子どもって本当に奇想天外というか、大人ではとても思いつかない奇抜な、でもウキウキしたことをやらかす。振れ幅がすごくて、大袈裟だけど真剣で、笑っていいやら怒っていいやら。
私の子どもの頃の宝物って何だったろう。トムの宝物はどう見てもガラクタだけど、私も多分大人から見たらなんてことない半端なものを後生大事に集めていたんだろうな。幽霊が出るとか本気で信じてたし。多少の差はあれ、『トム・ソーヤーの冒険』に出てくるトムやハックや少年少女たちと同じ世界を通り抜けて大人になったんだね。
「序」で作者は「本書は少年少女が愉しむだけでなく、大人たちにかつての自分がどんなであったか快く思い出してもらうために書いた」と言っている。
うん、思い出したよ。恐ろしく昔の少女時代の自分を。
物語の最後、ハックが盗賊団に入れてもらうために未亡人のところに戻って我慢できるかやってみるって言ったのには、さすがに笑った。やっぱり子どもなんだなぁ。健気でかわいい。
そうそう、本書に「ロビン・フッド」が出てきて驚いた。大好きだった、ロビン・フッド。小学生の頃何度も読んだ。ロビン・フッドが死んでしまうところは何度読んでも泣けた。懐かしいなぁ。