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『ウォッチメイカー』 四肢麻痺の天才鑑識捜査官が犯人を追い詰め、逃げられ、また追い詰め・・・ 二転三転するストーリーに翻弄された

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うーん、これが俗にいう「二転三転」ってやつね。

どんでん返しに次ぐどんでん返しともいう。

犯人はこいつだ!

と思ったら、違った。

え? じゃ誰? こいつだ!

と思ったら、また違った。

みたいな。

『ウォッチメイカー』はスピード感というより、二転三転するストーリーがおもしろい。おもしろすぎる。

『ウォッチメイカー』 ジェフリー・ディーヴァー

あらすじ

2件の殺人事件が起き、どちらの現場にもアンティークの置き時計が残されていた。ニューヨーク市警重大事件課から捜査を依頼されたライムは、犯人に時計を売った店を突き止めるが、同様の時計が10個売られていたため、犯人があと8人殺害する可能性が出てきた。一方、ライムの相棒サックスは別の事件を追っていた。一旦は自殺と処理された件が、実は殺人であったことが判明し、さらに警察官の汚職事件も関わっていることがわかった。連続殺人犯ウォッチメイカーは逮捕できるのか。汚職に関わった警察官は一体誰なのか。真相は二転三転する。

感想とか

ボーン・コレクター』からのスピード感狙いで『ウォッチメイカー』を読んだが、スピード感云々というよりストーリー展開が並外れてすばらしく、ただただ圧倒された。こんなに二転三転するミステリーを読んだのは初めてだ。

作者を恨めしく思いつつ、真相は何なんだよ、早く教えてくれとぼやき、荒波にもまれ、読後は放心状態。ふー。

比較しちゃ何だけど、『ボーンコレクター』vs『ウォッチメイカー』。

『ボーンコレクター』は、一つの謎に一直線、まっしぐらに突き進む感じで、ミステリー初級者にはとてもわかりやすかった。臨場感、引き込まれ度もなかなかなもの。

対する『ウォッチメイカー』は、2つの事件がある時点で交錯し、入り乱れて、チームリンカーン vs 犯人の高度な知恵くらべと、抜きつ抜かれつの駆け引きを楽しむミステリー中級者以上向けの作品って感じ。事件や犯人周りの人物がたくさん登場するから、雑念を取っ払って読まないと、どっちの誰だっけってなる。なった。

リンカーンライムシリーズだから主人公はライムなんだけど、本作のライムは『ボーンコレクター』より主人公感が薄い。サックスが主人公か?と思う場面もあったりして、個人的にはちょっと不満。まあチームリンカーンと思えばいいことなんだけど。

それでも、二転三転するストーリーは見事、このミス1位も頷ける。

もうひとつ、とても興味深かったのが、尋問のエキスパート キャサリン・ダンスが目撃者や被疑者を尋問するところ。

質問に対する答え(言葉)以外に、ボディランゲージ(顔の表情、目や手の動き、声の調子など)を観察し、答えの内容や言葉の選択と照らし合わせて本当のことを言っているかどうか判断する、すごい技、キネシクス。

読んでいてゾクゾクした。