行けるところまで行ってみよう

1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

『運命の証人』 D・M・ディヴァイン / 証人の一言で自信を取り戻した被告人

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ふーん、やっぱりそういうことね。

おもしろかったけど、最後はちょっとできすぎじゃないか?


法廷では2件の殺人事件の裁判が行われていた。被告人は弁護士のジョン・プレスコット。彼は無罪を主張していたが、目の前で行われている審理には無関心だった。6年前彼の身に何が起きたのか。彼が犯人でないとしたら一体誰が2人を殺したというのか・・・という話。

『運命の証人』は第一部〜第四部までで構成されている。

第一部では6年前の殺人、第二部では5年後の殺人についてそれぞれプレスコットが回想し、第三部は現在行われている裁判と判決、第四部はその後どうなったのかについて、これもプレスコットの視点で語られていく。

実質第四部が謎解きパートで、怒涛の展開だった。

プレスコットは仕事では有能な弁護士なのに、プライベートでは全てにおいて自信がなく、自分は愚かで無能、女性にまともに話しかけることもできない男だと思い込んでいる。実際犯人と疑われる行動を何度もしてしまうわけだが。

それが一人の女性の証言により自信を取り戻し、真犯人を探し出すことで自分の無実を証明すべく行動を起こす。そして事件は解決した。

彼は変わった。変わりすぎた。冒頭の彼と末尾の彼が同一人物には私には思えない。これがフィクション? できすぎじゃないかなぁ。

まぁでも、犯人を推理しながら読む過程はおもしろかったので良しとしよう。ただ、第一部の登場人物を紹介するような回想部分がちょっと退屈だったかな。法廷の場面から始まったときはこれから何が起きる?ってドキドキしたのに、第一部の最後にならないと誰が被害者なのかわからないのだから。忍耐がいるよこれは。


作者 D・M・ディヴァインはイギリスの作家で 13作の長編を書いている。そのうち邦訳されたのが12作。『運命の証人』は12冊目の邦訳。13作中12作が邦訳されたということは、日本でも人気の作家なのだろう。私は特にミステリーファンでないので知らなかったけど、人気なんだろうな。代表作は『五番目のコード』とか。映画化もされたようだ。未邦訳作品が邦訳されたら読んでみようか。