行けるところまで行ってみよう

1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

『エンダーのゲーム』 戦いの後に訪れる静寂が心地よい余韻となった

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そっかー、最後はそうきたか。

うん、それもありだよね。

バッチバチのバトルの後は、静寂あるのみ。心地よい余韻。

参りました。

『エンダーのゲーム』(新訳版) オースン・スコット・カード

常々思っていることがある。

SF小説を好む人は頭が柔らかい、柔軟な発想、奇想天外な思いつき、並外れた想像力を持つ右脳系。

過去でも未来でも、現実とかけ離れた世界を目の前にして、違和感なく瞬時にそのまま受け入れる。

それはもう特技というしかない。

対して私の頭はカチコチ。想像力のカケラもないので、本当はSFは苦手だ。

でも、そこに本があるんだな。目の前の本棚に、どうしてだかあるんだ。

だから読むしかない。 何のこっちゃ!と何回も喚きながら読むしかない。


ということで、(私にとっては)めちゃくちゃわかりにくいSF小説を読んだ。『エンダーのゲーム』だ。


異星人バガーの二度にわたる侵攻をかろうじてかわした地球。人類は三度目の戦いに備えて、小惑星帯に優秀な人材を育成するためのバトル・スクールを設立した。一方、地球上では増え続ける人口を抑制するため、子供は一家族当たり二人までと決められていた。しかしウィッギン家では長男と長女が優秀だったことから三人目を産むことを認められた。そして生まれてきたのがエンダー・ウィッギンだった。エンダーが6歳の時、バトル・スクールの初等訓練を指導するグラッフ大佐がエンダーを招聘しにやってきた。エンダーは過酷な訓練に耐え、天才的な能力を発揮し成長していく。エンダーに与えられた使命とは・・・という話。


なんかもうね、設定がすごすぎるし、想像という二文字を超えてまったくの未知の世界に放り出された感じ。

バトルシーンはどうなってんだかさっぱり??で、上なのか下なのか、横なのか縦なのか、どこが入り口で奥行きすら掴めず、もう大変。

文字で表現するのは絶対無理があると思うんだけど、SFファンやゲーム好きな人には一瞬でパターンが読めたりするのかな? 

下巻早々のバトルシーンがまったく頭に入ってこず、読むのを諦めようと思ったほどだけど、ここまで読んだんだし、このスピード感嫌いじゃない。厳しい訓練を耐え抜き信頼で結ばれた兵士(子供)たちが宇宙空間(一応バトル・ルーム)に飛び出していく様も凛々しくあったりする。

とりあえず最後まで進むぞ!と突き進み(何を大げさな)、先ほど読了。

宇宙SFというのか、私にとっては宇宙色とゲーム色が強すぎる作品だったが、それより何より、エンダーがネガティブな自己否定に悩み葛藤しながら成長していく様子も重要なテーマになっていて、ヒューマンドラマでもあるところが本作の魅力といえよう。

確かに、子供が戦い(バガーを)殺すのはいかがなものかとか、残忍と思えるシーンもあったりする。でも、意図せず計り知れない力を持ってしまったエンダーの苦しみ、絶望、家族から引き離され生への執着もなくなる姿を見ると胸が痛む。だって、エンダーはたったの11歳だから。

最後には許しもある。ネタバレになってしまうが救われる部分もあるから良しだよ。


本作は映画化もされている。なんとグラッフ大佐役にハリソン・フォード

文字で理解できなかった宇宙空間やバトルシーンなんかを映像で観てみるのもおもしろいかもしれない。

そして、本作にはシリーズとして続編がある。邦訳されたものは本作を含めて7作。

もう買ってしまった。『死者の代弁者』 映画を観るか『死者の代弁者』を読むか、贅沢な悩みだ。