行けるところまで行ってみよう

1年たつのは早い。早すぎる。ここまできたら行動あるのみ。後悔先に立たず。

海外の小説

『木曜殺人クラブ』 謎解きに年齢は関係ない、スリリングな余生を楽しむ高齢者たち

今まで手当たり次第に本を読んできたが、少し大人になってみようと思う。 「手当たり次第」を「計画的に」というだけのことなんだけど。 つまり、 読み終えた本(A)とどこかでつながっている本 ー 小説、エッセイ、ノンフィクション、その他ジャンルにこだ…

『解錠師』 声を失った少年が絵を描くことで心を通わせる姿は神秘的ですらある

ごめん、乗り遅れたみたい。 ストーリーには完全に乗り遅れた。 でも。 声をなくした少年が、絵で伝えようとする姿は美しかった。 『解錠師』 スティーヴ・ハミルトン ある事件がきっかけで声が出なくなってしまった8歳の小年。 解錠という能力を持ったばか…

『熊と踊れ』 暴力に支配された少年時代を経て、暴力をコントロールするはずが暴力と一体化してしまった

上巻は確かにまどろっこしい。読むのがつらい。 しかし。 声を大にして言いたい。 上巻は何とか読んでほしい。あきらめてはいけない。 そうすれば、下巻は一気に加速する。 人間の強さと脆さを突きつけられて茫然とする。 あまりにも切ない。 『熊と踊れ』 …

『オベリスクの門』 人とかつては人だったもの、両者が愛する人を守るために戦う壮大なファンタジー

ふー。(放心状態) なるほどね。 だんだんわかってきたよ。そうくるわけね。 次は? どうする? どうやって愛するものを救う?! 『オベリスクの門』 N・K・ジェミシン わかりにくさMAXの『第五の季節』から続く『オベリスクの門』。 物語は、母エッスンと…

『第五の季節』 パズルのピースがひとつずつはまっていく感じがたまらない(でもそれは最後の最後)

このラストはずるいぞ。ずるすぎる。 続きが気になるじゃないか。 細かいことはよくわからんけど、どうしようもなく気になるんだよ。 『第五の季節』 N・K・ジェミシン いやほんと、続きが気になって、感想を書く時間が惜しいくらいだ。 だけどいつか、『第…

『死者の代弁者』 深く重い読後感、人類と異星人が共存する姿が見える

これは『エンダーのゲーム』の続編じゃない。 読んでいる最中も、読了後も、まったく別物だと感じた。 これは一つの独立した宇宙&異星人S Fだ! 異星人S Fってジャンルがあるとしたらだけど。 『死者の代弁者』(新訳版) オースン・スコット・カード 『エ…

『エンダーのゲーム』 戦いの後に訪れる静寂が心地よい余韻となった

そっかー、最後はそうきたか。 うん、それもありだよね。 バッチバチのバトルの後は、静寂あるのみ。心地よい余韻。 参りました。 『エンダーのゲーム』(新訳版) オースン・スコット・カード 常々思っていることがある。 SF小説を好む人は頭が柔らかい、柔…

『十日間の不思議』 ラストそうきたか!大どんでん返しのミステリー

さあさあ、ジェットコースターに乗ろう! 上りはスロー。てっぺんまでいったら徐々に加速して一気に駆け下りる。 小さい山をいくつか乗り越え、はぁ〜やっとゴールにたどり着いた。 と思ったら、なんとそこから真下に突き落とされる。 どういうこと? そんな…

『初秋』 ロバート・B・パーカー / 男くささと力強さにやさしさをプラスした物語

思ったより新しくて読みやすかった。 なんといっても1988年発行だからね。 もっと古くさく感じると思ったよ。 ハードボイルドの名作と言われるロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズ。Wikiによると全40作もあるらしい。全部は邦訳されていないようだ…

『許されざる者』 レイフ・GW・ペーション/ 時効が成立した事件の犯人の末路

結局、そうなるのね・・・。 それにしても、やっぱり出てきた小児性愛、暴力、貧困、家庭崩壊。 スウェーデン(北欧)ミステリーにはつきものなのか? 国家犯罪捜査局の元長官ヨハンソン(67歳)は、屋台でホットドックを買った直後脳塞栓で倒れ、病院に救急…

『武器よさらば』 ヘミングウェイ / 行動を描くことで心情を読み取らせる

そうかー。そういうことね。 余韻がね。 意味不明な読後の一言。 でも、それしかいえない。とにかくそういうことだ。 第一次世界大戦中、イタリアの傷病兵搬送車部隊に所属するアメリカ人フレドリックは、任務中に敵の砲撃を浴び重傷を負う。病院に運ばれた…

『短くて恐ろしいフィルの時代』 ジョージ・ソーンダーズ / 現代版寓話、脳が落っこちる!

これは寓話か? 空恐ろしいおとぎ話か? 現代版寓話だな、きっと。 中編の部類に入る短めなお話。 <内ホーナー国>は領土が狭く、国民が1人しか入れない。残りの6人(ということは内ホーナー国民は全員でたった7人)は<内ホーナー国>を取り囲む<外ホー…

『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー / おもしろいから一度は読むべし

こんなにおもしろいって知ってたら、もっと早くに読むんだった! 『ロング・グッドバイ』がミステリーだったとは、読み始めるまで知らなかった(いや読み始めてさえも気がつかなかった)。 なぜって、村上春樹が影響を受けた作家だから。 村上春樹は『グレー…

『運命の証人』 D・M・ディヴァイン / 証人の一言で自信を取り戻した被告人

ふーん、やっぱりそういうことね。 おもしろかったけど、最後はちょっとできすぎじゃないか? 法廷では2件の殺人事件の裁判が行われていた。被告人は弁護士のジョン・プレスコット。彼は無罪を主張していたが、目の前で行われている審理には無関心だった。6…

『火星へ』 メアリ・ロビネット・コワル / 宇宙SF色が濃くなって、さらにおもしろくなった

『宇宙へ』よりずっとおもしろいじゃん。 ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞受賞の『宇宙へ』よりおもしろいってどういうこと?! 私の感性がおかしいのか? 物語は前作『宇宙へ』のラストから3年後、主人公の女性宇宙飛行士エルマ・ヨークが月面から地…

『宇宙へ』 メアリ・ロビネット・コワル / SF + ヒューマンドラマ

これはSFか? Wiki によると、サイエンス・フィクション(SF)とは 科学的な空想にもとづいたフィクションの総称 だそうだ。 ならば、確かに『宇宙へ』は SF小説なのだろう。 しかし、これから読む人には「SF小説と思って読み始めると転ぶかもよ」と言いたい…

『誠実な嘘』 マイケル・ロボサム / 嘘の背景にあるもの

これってストーカーじゃん! ・・・って思いながら読み進めたら、 違った!! そんな単純な話じゃなかった。 これはもうね、前情報なしに読んでほしい。 レビューも、何なら裏表紙のあらすじも読まずに、真っ新(まっさら)な気持ちで向かってほしい。 そう…

『もう耳は貸さない』 ダニエル・フリードマン/ 老いと死刑制度

あれぇ〜? このシリーズ、こんなだっけ? アクションあり、ハラハラドキドキ冒険小説を期待していたんだが・・・。 『もう年はとれない』『もう過去はいらない』ときて、『もう耳は貸さない』、シリーズ3作目。 元メンフィス市警殺人課刑事のバルーク(バッ…

『書店主フィクリーのものがたり』 ガブリエル・セヴィン / フィクリーはすべての読書人の代弁者

不思議な物語だった。 島にたったひとつの書店「アイランド・ブックス」の店主が、店に置き去りにされた子どもを引き取り育てていく話だ。 読み終わってもう一度あらすじを追ってみると、登場人物に(主人公の書店主以外の人物にも)起きた出来事はほとんど…

『三時間の導線』 アンデシュ・ルースルンド / 疾走感の後、やるせなさに襲われる

遺体安置所に昨日まではなかった遺体が一体紛れ込んでいた。 誰が、何のために、どのようにして運び込んだのか・・・。 何という衝撃的な始まり。そそられる導入。一気に物語に引き込まれるじゃないか。 ストックホルム市警・警部グレーンスシリーズ7作目(…

『鍵穴』 ヨルン・リーエル・ホルスト / 動機を想像して読むのがいい

『カタリーナ・コード』に続く警部ヴィスティング・シリーズ13作目(本国では13作目、邦訳では3作目)。 今回のあらすじは・・・ 急逝した大物政治家の別荘で大金が詰まった段ボール箱が見つかった。 汚職か? 大金の出どころを極秘に操作せよ! 検事総長か…

『三分間の空隙』/ スケールはでかく、コロンビアの少年に胸が痛んだ

スケールがでかい。でかすぎる。 物語は中米コロンビアから始まり、スウェーデン、アメリカを何度も往復する。 スウェーデン人の犯罪者がアメリカ麻薬取締局に雇われ、コロンビアの麻薬組織、ゲリラ部隊の一員となり潜入捜査を行う。 警察小説だけど主人公は…

『カタリーナ・コード』 ヨルン・リーエル・ホルスト / 地道な捜査と犯人の心理に迫ったミステリー

いやーおもしろかった! 24年前に女性が失踪した事件(カタリーナ事件)を追う警部の話。 ミステリーによくあるこれ見よがしの謎解きもなく、奇想天外な結末でもなく、すとんと落ちる読後感が気持ちいい。 ミステリーは今まであまり読んでこなかったのであく…

『老いた男』トマス・ペリー / 逃げ切れるか?!

逃げるよ、逃げる。 どこまでも。 逃げ切るまで。 この『老いた男』は、そんな逃げる男の話。 老いたといっても、男の年齢は60歳。元工作員だから、60歳といえどもそこら辺の中年とは訳が違う。老いてなんか全然ない。現役でも通用するくらい powerful man。…